船橋市 税理士からのご提案

 グローバルに活動する金融機関も、日本に米欧のような深刻な金融危機が存在していないことは承知しているから、売った後の流動性資金は、米欧よりも安全な金融システムを持った日本の通貨で持つ傾向を強めている。  このため、日米欧の同時株安の中で、日本の円が、米ドル、ユーロ、ポンド、スイスーフラン、豪ドル、加ドルなどに対し、円高になっているのである。
 円はまた中国の人民元などに対しても円高になっている。 中国の金融システムに不安があるというよりも、中国の金融システムにはまだ規制が多く残っていて、人民元は国際通貨として使い勝手が悪い。
グローバルな金融機関は、国際通貨として、人民元よりも日本円を選好しているのである。  実質実効為替レートを見ると、円安バブルが極まった二〇〇七年夏頃まで、円は九五年頃からは四五%、○○年初頃からは三八%円安になっていた。
その後、○七年夏にサブプライムーローンの焦げ付き問題が表面化し、米欧の金融システム不安から円キャリー取引の巻き戻しが起きて円安バブルが崩壊すると、円は九五年からの円安の四〇%、○○年からの円安の五三%程戻った水準まで円高になっている。  このように、同時株安の中で円安修正が起きているのは、日本円か国際通貨としての地位を高めているという、望ましい動きである。
 実力を反映した円高傾向は日本経済に有利。  以上のように、「株安で円安」よりも「株安で円高」の方が遥かにましであるが、短期間の急激な円高は、輸出企業の採算を狂わせるので確かに望ましくない。

 しかし、円安バブルの崩壊に伴い、日本経済の実力を反映した緩やかな円高傾向が起こっているのであれば、決して悪いことではない。  円高が不利に働くのは輸出企業であるが、中期的にはグローバルに展開した工場への生産シフトや輸入原材料・部品の金額と輸出製品の金額とをほぼ等しくすることなどによって一定の対応は出来るし、これまでもして来た。
今回の円安バブルの崩壊で大きな減益を出している企業の中には、円安バブルを実勢と見誤り、円高への備えを怠っていた企業があるのではないか。  他方、円高が有利なのは輸入原材料を使って製造した製品・準備したサービスを海外よりも国内により多く売る企業、輸入品を国内に売る流通業などである。
電気・ガス・石油精製などがその典型であるが、鉄鋼業も原材料の輸入額が製品輸出額を上回っているので、円高で利益が出ている。 「円高還元セール」をしている流通業も、勿論円高は有利だ。
また輸入品を買ったり海外旅行をしたりする消費者にも、円高は有利に働く。  日本の就業者のうち、製造業で働く者の比率は一七%にすぎず、その製品の中の一部が輸出され、一部は国内に販売される。
残りの八三%の就業者は、円高が有利な産業で働いている。 また就業者はすべて消費者であり、円高が有利だ。
 このように見てくると、円高が不利に働くのは日本経済の一部であり、大部分は円高の方が有利であることが分かる。  過去には円高傾向と持続的景気上昇は両立している 過去を振り返ってみても、急激な円高は輸出を減少させ、日本経済を一時的な不況に陥れたことはあったが、その後は緩やかな円高傾向の中で日本経済は内需中心に順調な発展を遂げている。
 七一年八月のNショックと七三年二月の変動為替相場制移行によって、戦後の固定為替相場制が崩れ、円は大幅な円高となったが、この時は、七三年秋以降の第一次石油ショックによって七四年度にマイナス成長となるまで、景気はむしろ大インフレを起こす程強かった。  その後、第二次石油ショック(七九〜八〇年)やバブル経済(八七〜九〇年度)の過程で、円相場は変動を繰り返しながらも九五年頃まで一層の円高傾向を辿ったが、その間の日本の経済成長率は、九四年頃までOECD加盟国の平均を上回っていた。
 その後、日本の経済成長率はOECD加盟国の平均成長率を下回ってしまうのであるが、この間の為替相場との関係を確認してみると、次のようになる。  円安で景気回復が持続した○二〜○七年はむしろ例外 まず円高が大きく進んだのは、九一〜九六年であるが、この時期の日本経済は、九四〜九六年度の三年間(平均プラス二人%成長)にバブル崩壊後初の景気回復を、内需主導型で実現した。
この大幅な円高傾向は、むしろ内需企業や消費者に有利に働き、三年間の持続的回復を実現したのである。  次に円高傾向が進んだ時期は、ITブームの九八〜○○年であるが、この時も九八年度マイナス五%成長、九九年度プラス〇・七%成長、○○年度プラスニ・六%成長、○一年度マイナス〇・八%成長と、むしろ円高期に成長率が加速的に高まっている。
 以上の二つの時期は、円高が大きく進んだにも拘らず、景気はむしろ良くなった。  逆に、円安傾向が大きく進んで景気が良くなった例は、最近までの○二〜○七年の輸出主導型景気である。

円の実質実効レートは、プラザ合意前の八五年の水準まで円安になってしまった。 このため、極端に輸出に偏り、内需の沈滞した景気パターンとなった。
 円安と国際商品市況の高騰で交易損失が拡大し実質国民総所得は減少。  この極端な円安は、超低金利の日本で資金を調達し、海外の証券化商品や派生商品に投資する円キャリー取引の盛行と共に進んだ。
 その円キャリー取引が、今回の金融危機を起こした証券化商品や派生商品の暴落で逆転し、いわば「円安バブル」が崩壊して正常な円の水準に向かって、円高傾向が始まっている。 金融システムに不安のある米欧から、金融システムに比較的不安の少ない日本への資金の流れが円安を修正しているのであり、株安なのに円高を生んでいる。
 ○一〜○七年の大幅な円安傾向は、日本製品の安値販売で輸出を伸ばすことは出来たが、石油、穀物、鉱石類など国際商品市況の高騰と重なって、外国品を高く買い、国産品を安く売ることとなり、交易損失を拡大して日本の実質総所得を減らした。  交易利得が大きなマイナスとなり(交易損失が拡大し)、○七年度に入ると海外からの所得の純受取を上回るに至ったため、実質GNI(国民総所得)は実質GDPよりも小さくなってしまった。
 交易利得の拡大は、消費者・内需企業中心の景気回復を図る好機 石油を始めとする国際商品市況は、新興国・途上国の成長に伴う世界的な需給逼迫で、長期的には再び上昇してくるであろうが、今回の金融危機に伴う世界経済の成長減速、あるいは景気後退が長引くことによって、当分は低迷を続けるであろう。 また比較的安定した金融システムを持った日本円は、「円安バブル」の崩壊過程と重なって当分は円高基調を続けるであろう。
 この二つが重なって利益を得る内需企業の収益回復と消費者の実質所得の回復が、マクロ的には実質国民総所得(GNI)の実質GDP以上の増加となり、これからの内需主導型の景気回復をリードすることと期待されるし、またそうしなければならない。  では、そのためのマクロ経済政策は、どうあるべきであろうか。
 日本が進むべき経済針路。  エコと安全ネットで内需刺激、「強い円」でアジアと共に発展。

 輸出立国か国民生活の改善か。

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